「処理を依頼したいけど、どこに頼めばいいのか分からない…」
「業者に対応不可と言われた…」
「そもそも廃油なのか汚泥なのか分からない…」
「特別管理産業廃棄物に該当するか判断できない…」
廃油・汚泥などの産業廃棄物処理は、法律による規制が厳しく、誤った処理をすると排出事業者にも罰則が科される可能性があります。
廃油・汚泥を誤って処理すると
- 排出事業者への罰則(懲役刑・罰金刑)
- 行政指導・営業停止のリスク(環境汚染による損害賠償請求)
- 企業イメージの低下
このようなリスクを回避し、適正かつ効率的に処理するためには、正確な知識と適切な業者選びが不可欠です。
この記事では、15年以上の産業廃棄物処理実務経験をもとに、「法律を守りながら、無駄なコストをかけずに処理する方法」を初心者にも分かりやすく解説します。
この記事で分かること
- 廃油・汚泥が産業廃棄物になる基準
- 処理費用の相場と安く抑えるコツ
- 信頼できる業者の見極め方
- よくあるトラブルと回避策
それでは、いってみましょう!
事業活動に伴って生じた「廃油/汚泥」は全て産業廃棄物
廃油や汚泥が「産業廃棄物」になるか「一般廃棄物」になるかは、
性状ではなく “排出主体(どこから出たか)” によって決まります。
廃棄物処理法の基本的な考え方は次の2つです。
- 事業活動に伴って生じた廃棄物 → 産業廃棄物(一部、事業系一般廃棄物)
- 家庭など、事業以外の活動で生じた廃棄物 → 一般廃棄物
※事業活動から出た廃棄物は「産業廃棄物」と「事業系一般廃棄物」 に分類されますが、廃油・汚泥の場合はすべて「産業廃棄物」に分類されます。
※参考:「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(https://www.env.go.jp/recycle/waste/laws.html)」
事業活動で発生した廃油・汚泥は「産業廃棄物」
企業・事業者の活動で生じた廃油・汚泥は、性状にかかわらず すべて産業廃棄物 になります。
- 飲食店の揚げ油
- 自動車整備工場の廃エンジンオイル
- 切削油・潤滑油・洗浄液などの廃液
- 工場排水処理で沈殿した汚泥
- 建設現場の泥水処理で発生した汚泥
これらはどの業種であっても “事業活動由来” のため、必ず産業廃棄物扱いです。
家庭で出た油や泥は「一般廃棄物」
排出主体が家庭の場合は、廃油や泥でも 一般廃棄物 に分類されます。
- 家庭の天ぷら油
- 家庭菜園や庭の掃除で出た泥
- 家庭内の生活排水由来の汚泥
自治体が収集・処理の主体となるのが一般廃棄物の特徴です。
産業廃棄物には「業種指定」のものもあるが、廃油・汚泥は含まれない
産業廃棄物の中には、
特定の業種で出たときだけ産業廃棄物になる「業種指定のある産業廃棄物」
という分類があります。
- 木くず
- 紙くず
- 繊維くず
- 動植物性残さ
- 動物系固形不要物
- 動物のふん尿
- 動物の死体
しかし、廃油・汚泥は業種指定ではなく、「どの業種でも事業活動から出れば産業廃棄物」。
飲食業、美容業、小売業、サービス業、製造業など、いかなる業種であっても、事業活動で発生した廃油・汚泥は産業廃棄物として扱われます。
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廃油・汚泥の種類と特性を理解する
廃油や汚泥は一見どれも同じように見えますが、実際には 種類や性質が大きく異なり、処理方法・費用にも影響 します。
まずは、どのような種類があり、どんな特徴を持っているのかを整理しておくことが重要です。
油の主要4種類とその特徴
① 鉱物油(エンジンオイル・切削油・潤滑油など)
- 自動車整備工場・製造業などで多く発生
- 金属粉や添加剤が混ざりやすく、粘度が高い
- 廃油焼却・再生油(RPF 等)化の対象になりやすい
- 少量の汚泥を含むことも多い
② 動植物油(揚げ油・食用油)
- 飲食店・食品工場から出る
- 比較的扱いやすいが、水分や残渣が混ざると処理単価が変わる
- バイオディーゼル原料として再資源化されるケースもある
③ 混合油(油+水+異物が混ざった状態)
- 工場排水や洗浄工程でよく発生
- 分離が必要なため、処理難易度が高い
- 水分率が高いほど処理費用に影響
- 固形物・薬品が含まれると産廃分類も変わり得る
④ 廃溶剤(シンナー・洗浄溶剤・工業用薬剤)
- 引火性・揮発性が高く、特別管理産廃に該当する場合も
- 専門処理が必須で、混ぜると危険
- 量が少なくても取り扱い
汚泥(スラッジ)の主要4種類と特徴
汚泥は「水と固形分の混合物」ですが、発生源によって性質が大きく違います。
廃棄物処理法では “事業活動で発生する泥状のもの” は汚泥として分類されます。
① 無機汚泥(建設系・切削・研磨・浄水処理など)
- セメント、土砂、金属粉などが主体
- 比重・含水率によって運搬効率が変わる
- 沈降しやすく脱水の有無で費用差が大きい
- 建設泥水処理の汚泥は非常に多い
② 有機汚泥(食品工場・製紙工場など)
- 糖分・タンパク質などの有機物を含む
- 腐敗しやすく、悪臭が出やすい
- 水分率が高いことが多く、脱水処理が必須
- バイオガス原料となる場合もある
③ 油分を含む汚泥(油水分離槽・工場排水処理など)
- 廃油系スラッジとも呼ばれる
- 油分・化学薬品・固形物が混在
- 産廃の中でも処理難易度が高いカテゴリー
- 脱水後に焼却・中間処理へ回されることが多い
④ 化学汚泥(薬品処理槽・メッキ・表面処理)
- pH極端・有害重金属を含む可能性
- 特別管理産業廃棄物になるケースもある
- 中和処理・固化など専門処理が必要
特別管理産業廃棄物に該当するケースもある
廃油・汚泥の中には、成分や発生工程によって 「特別管理産業廃棄物(特管)」 に分類されるものがあります。
- 爆発性・引火性が高い
- 毒性・腐食性がある
- 重金属や有害化学物質を含む
といった、環境・人体へのリスクが大きい産廃のことです。
特管に該当すると:
- 取り扱い可能な業者が限られる
- 通常の産廃より処理費用が高くなる
- 保管・容器・ラベル表示にも厳しい規制がある
- 廃溶剤・有機溶剤
- メッキ工程のスラッジ(クロム・ニッケルなど)
- 特定有害産業廃棄物(pH2以下/12.5以上)
- PCBを含む油
- 有害物質を含む反応汚泥
廃油・汚泥を扱ううえで “成分が特管に該当するかどうかの確認” は非常に重要です。
参考:「特別管理廃棄物規制の概要(https://www.env.go.jp/recycle/waste/sp_contr/index.html)」
含水率や混合物の有無で処理方法と費用が大きく変わる
廃油や汚泥は 同じ種類でも「状態」によって扱いが変わる のが特徴です。
特に以下は費用・処理方法に直結します。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 含水率(水分の割合) | 水が多いと処理量が増え、運搬効率も悪化 |
| 固形物・異物の有無 | 砂、金属粉、プラスチック片などで分類が変わる |
| 油分・薬品濃度 | 特管扱いになる場合がある |
| 特別管理産業廃棄物(特管)に該当するか | pH、重金属、有害物質、揮発性などにより取り扱い業者・費用が大きく変わる |
| 臭気・腐敗性(有機汚泥) | 腐敗が進むと臭気対策や前処理が必要になりコスト増 |
このため、同じ「汚泥」「廃油」という名前でも、見積もり結果が大きく違う ことがよくあります。
廃油・汚泥の処理方法の全体像
廃油や汚泥は、種類や性状によって処理方法が大きく異なりますが、基本的には 「前処理」→「中間処理」→「最終処分または再資源化」 という流れで処理されます。
処理業者によって工程の一部が異なることはありますが、全体の考え方はほぼ共通しています。
産業廃棄物の廃油・汚泥の処理全体像
最初に行うステップは、廃油・汚泥がどんな状態かを正確に把握すること です。
- 含水率(どれくらい水が含まれているか)
- 固形物・異物の混入状況
- 油分濃度
- 化学薬品の有無
- pH、重金属、有害物質の含有(特管該当性)
- 荷姿
- 排出量
これらを確認して、適切な処理ルートに振り分けます。
性状によっては、以下の前処理が必要:
- ふるい分け(異物除去)
- 比重分離
- pH調整
- 分別(廃油・汚泥が混在する場合)
ここで正確な判定ができていないと、後工程で処理拒否や追加料金が発生することがあります。
中間処理は、廃油や汚泥を安全に処理したり、再利用できる状態にするための工程です。
廃油と汚泥では処理方法が異なる点が多いため、分けて説明します。
■ 廃油の中間処理
廃油は大きく 燃料化・再生・焼却 のいずれかのプロセスに進みます。
油・水・固形物が混ざっている場合は、まず分離を行います。
- 油水分離槽、遠心分離、上澄み分離など
- 固形物が多い場合はフィルターやスクリーン処理
使用済み油を元の用途に近い状態に戻す工程。
エンジンオイルや潤滑油などで利用されることがあります。
再生できない油は燃料化(RPF製造、ボイラー燃料等)されたり、
専用の焼却炉で安全に焼却されます。
※ 引火性が高い溶剤類は 特別管理産業廃棄物 として専門焼却が必要。
■ 汚泥の中間処理
廃油は大きく 5種類、以下のいずれかのプロセスに進みます。
含水率を下げて固形化し、運搬や後工程を容易にする工程。
処理しにくい汚泥を安定化して埋立可能な状態にする方法。
水分を飛ばして体積を減らすことで、処理コストを下げる。
酸性・アルカリ性の汚泥や、薬品反応後のスラッジに必要。
pH の調整が必須で、特管該当の場合は特に注意。
重金属・油分を含む場合、凝集沈殿や薬品反応で無害化する処理が必要。
間処理の後は、状態に応じて 「最終処分」または「再資源化」 に振り分けられます。
■ 最終処分(埋立・焼却)
- 固化した汚泥
- 分離後に残ったスラッジ
- 再生・燃料化が困難な廃油
- 有害成分を除去した残渣
などが対象となります。
■ 再資源化(リサイクル)
近年では、廃油・汚泥を資源として循環させる動きも増えています。
例:
- 廃油 → ボイラー燃料・再生油
- 食用油 → バイオディーゼル
- 有機汚泥 → メタン発酵によるバイオガス化
- 無機汚泥 → 建設材料への活用(条件付き)
再資源化が可能かどうかは、種類・含水率・汚染状態に強く依存します。
ただし、特別管理産業廃棄物(特管)は別ルート
廃溶剤・メッキ汚泥・薬品反応スラッジなど、
特管に該当する廃油・汚泥は 通常の産廃とはまったく別ルート になります。
- 保管基準が厳しい(密閉容器・表示義務)
- 運搬許可・処理許可も「特管対応」が必須
- 処理可能な施設が限られ、コストも高め
特管の該当性は処理ルートを大きく左右するため、
排出時点での性状確認が非常に重要です。
処理コストと見積もり目安
廃油・汚泥の処理費用は、種類だけでなく性状(状態)によって大きく変動します。
同じ「汚泥」「廃油」でも、含水率や異物の有無によって 見積もりが倍以上変わる ケースも珍しくありません。
まずは、費用に影響する要素を整理したうえで、おおよその相場感を確認していきます。
① コストを左右する主な要因(水分量、油種、混合物の有無、量など)
1. 含水率(水分の割合)
- 水分が多いほど重量が増え、運搬費が上がる
- 脱水工程が必要になるため、中間処理費も上昇
→ 含水率が高い=高額になりやすい
2. 固形物・異物の混入
- 砂、金属粉、樹脂片、スケールなど
- 異物が多いほど分離工程が追加される
- 別廃棄物として再分類されることもある
→ 混ざり物が多い=手間と処理費が増える
3. 油分・薬品濃度
- 高濃度油泥は焼却量が増えるため費用上昇
- 界面活性剤・薬品が多いと処理方法が限定される
→ 濃度が高い=特殊処理になりやすい
4. 特別管理産業廃棄物(特管)該当性
- 特定有害産業廃棄物(pH2以下/12.5以上)かどうか
- 重金属(Cr・Ni・Pb など)を含む
- 強酸・強アルカリ・溶剤類
→ 特管に該当すると許可施設が限られ、単価は通常の1.5〜3倍が一般的
5. 排出量(多いほど単価が下がる傾向)
- 1m³未満の少量回収は「最低料金適用」が多い
- 定期回収や大量排出はボリュームディスカウントが可能
→ 「量」は交渉可能な要素
6. 保管状態・容器の種類
- ドラム缶回収/バキューム車吸引/コンテナでの排出
- 容器の洗浄が必要な場合は追加費用
→ 排出形態が整っているほどコストを抑えられる
② 定期回収の場合の廃油・汚泥の一般的な相場感(目安)
※地域・性状により変動します。
※あくまで「幅のある参考値」です。
※処分料金のみの相場です。別途、配車費用がかかります。
廃油(鉱物油・動植物油など)
| 性状 | 目安単価(円/L) |
|---|---|
| 再生可能な油 | 20〜60円/L |
| 焼却・燃料化が必要な廃油 | 40〜150円/L |
| 油水混合(高含水) | 8〜25円/kg |
| 溶剤系(特管の可能性あり) | 100〜300円/L |
ポイント
- 再生油ルートがあると安くなることがある
- 水が多いと「kg」での計算になり割高
- 溶剤系は特管対応のため高め
汚泥(油泥・有機汚泥・無機汚泥など)
| 性状 | 目安単価(円/kg) |
|---|---|
| 無機汚泥(含水率 60〜80%) | 20〜45円/kg |
| 有機汚泥(腐敗しやすい) | 80〜120円/kg |
| 油分を含む汚泥(油泥) | 40〜100円/kg |
| 特管汚泥(メッキ・薬品反応など) | 80〜200円/kg |
ポイント
- 油分が多いほど高額
- pH・重金属によって特管扱いになればさらに上昇
- 有機汚泥は腐敗性が高いと受入不可のケースもある
バキューム車吸引(油水・泥水)
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 車両手配 | 2〜4万円/台 |
| 吸引作業 | 1〜3万円 |
| 処理費用 | 性状による |
③ 少量排出の場合の「最低料金」
1m³ や 200L ドラム数本などの少量排出では、多くの業者が 最低料金(3〜7万円前後) を設定しています。
少量排出に「最低料金」を設ける理由
- 車両手配コストが一定
- 助手・運転手の人件費
- 洗浄や前処理の固定費がかかるため
少量排出の場合は「回収頻度をまとめる」「容器を統一する」だけでも単価が下がりやすくなります。
④ 見積もりを依頼する際に伝えるべき項目
見積もり精度を上げるために、次の情報は必須です。
- 排出予定量(L or kg)
- 含水率のおおよその目安
- 汚泥 or 廃油の種類(鉱物油・食用油・油泥など)
- 固形物・異物混入の有無
- pH(わかれば)
- 有害物質の可能性
- 保管容器の種類(ドラム・タンク・槽・バッキなど)
- 希望する回収日時・車両が入れるか
これらを伝えることで、「当日になって処理不可・追加費用」 といったトラブルを防ぐことができます。
廃油・汚泥処理業者の選び方 ― 失敗しないためのチェックリスト
廃油・汚泥の処理は、許可の種類や対応できる性状が業者ごとに大きく異なるため、
「どこに依頼しても同じ」ではありません。
業者選びを誤ると、
- 当日の引き取り不可
- 追加費用の発生
- マニフェスト不備
- 法令違反による排出事業者への罰則
など、重大なトラブルにつながることがあります。
以下のチェック項目を押さえておくことで、失敗しない業者選びが可能になります。
① 契約前に必ず確認すべき「許可の種類」
産業廃棄物処理は、業者の許可区分が非常に重要です。
必須で確認するポイント
- 産業廃棄物収集運搬業許可
- 産業廃棄物処分業(中間処理)許可
- 廃油・汚泥の「品目」が許可に含まれているか
- 排出地域(都道府県)が許可範囲に入っているか
特に許可については収集運搬業者と処分業者に対してそれぞれ確認する必要があります。
上記確認を怠り違反となると、排出事業者側も 「委託基準違反」 となり罰則対象になります。
※分からない場合は、まずは業者に確認をし、それでも不安な場合は行政へ確認をとりましょう。
特別管理産業廃棄物(特管)に該当する場合
- 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可
- 特別管理産業廃棄物処分業許可
- 廃油・汚泥の「品目」が許可に含まれているか
- 排出地域(都道府県)が許可範囲に入っているか
特に許可については収集運搬業者と処分業者に対してそれぞれ確認する必要があります。
上記確認を怠り違反となると、排出事業者側も 「委託基準違反」 となり罰則対象になります。
② 業者の得意不得意を確認する
産業廃棄物処理業者は、どの種類でも一律で対応できるわけではありません。
廃棄物の性状や発生業種によって、設備・処理技術・経験値が大きく変わるため、
業者ごとに“得意分野”が存在します。
自社が排出する廃棄物の種類と、業者の得意分野が一致していない場合、
以下のような問題が起こりやすくなります。
- 当日になって受け入れ不可
- 過剰な費用がかかる
- 処理方法が適切でない(法令違反リスク)
- 性状が合わず、別途前処理が必要
そのため、契約前に 「どの分野を強みとしている業者なのか」 を確認することが重要です。
③ 取り扱える性状・種類を確認する
同じ「廃油」「汚泥」でも、業者によって対応できる性状が異なります。
性状・種類の確認
- 油水混合物の処理が可能か
- 異物や固形物が混ざっていても問題ないか
- 高含水の汚泥に対応しているか
- 有機汚泥(腐敗性の高い汚泥)を受け入れているか
- 特管に該当する可能性がある場合の対応可否
性状が合わない業者に依頼すると、当日に断られる ケースが最も多いトラブルです。
④ 料金体系とその他費用の確認
料金体系とその他費用の確認
- 重量(kg)計算か? 容量(L)計算か?
- 配車料金の確認
- 含水率に応じて単価が変動するか?
- ドラム洗浄費などの 追加料金 の有無
- 少量排出の場合の最低料金
※なお、最終的な金額については処分場搬入時の計量に寄ります。
⑤ マニフェストの発行体制が整っているか
産廃の委託は マニフェスト(産業廃棄物管理票) が必須です。
マニフェストについてのチェック項目
- 電子マニフェスト対応の有無
- 紙マニフェストの場合、記載漏れがないか
- 処理完了報告(返送)が適切なタイミングで行われるか
なお、マニフェストの不備は、排出事業者側に行政指導が入ることがあります。
参考:環境省「産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度(https://www.env.go.jp/recycle/waste/manifest.html)」
⑥ 問題なく回収できるか
廃油・汚泥の回収は、現場の条件によっては当日作業ができない ケースがあります。
業者ごとに対応できる車両・ホースの長さ・積み込み方法が異なるため、
事前に「物理的に回収可能か」を確認しておくことが重要です。
回収作業のチェックポイント
- バキューム車・トラックが敷地に入れるか
- 道路幅・高さ制限に問題はないか(2t/4t車の進入可否)
- 裏道・私道・急な坂など、車両の通行に制限がないか
- 積み込み場所から駐車位置までの距離(ホース・人力での運搬可否)
- 槽の 蓋の位置・形状・高さ がわかるか
- ドラム缶の場合、持ち上げ可能な量(8〜9割)で保管されているか
- 夜間・早朝などの 騒音規制に触れないか
これらを事前に把握しておくと、当日の「回収不可」や追加費用を避けることができます。
⑦ 過去のトラブル・行政処分の有無
意外と見落とされがちですが重要なポイント。
チェック項目
- 各自治体の「行政処分一覧」で検索
- ホームページや業界団体での事故情報
- 長年の継続取引があるかどうか
行政処分歴のある業者は、委託する側にもリスクが生じます。特に、社名が頻繁に変わっている会社などは要注意です。
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廃油・汚泥処理でよくあるトラブルとその対策
廃油・汚泥の処理は、性状の違いや法令の複雑さから、
事前準備を怠るとトラブルが発生しやすい領域 です。
ここでは、現場で特に多いトラブルと、その対策を分かりやすく整理します。
① 当日になって「受け入れ不可」になる
最もよく起こるトラブルがこれです。
よくある原因
- 想定より 含水率が高い
- 固形物・金属片など 異物が混入
- 油泥ではなく「ほぼ水分」など、性状が大きく異なる
- 廃油に溶剤が混ざっていた
- 特管該当性(有害物質・pH異常) が当日発覚
業者は「当日の性状」を基準に判断するため、
事前申告と違うと受け入れができないことがあります。
対策
- 性状を 写真・動画 で共有する
- 可能であれば サンプル採取(500ml程度) を先に渡す
- 工場排水・油水分離槽の場合は 直前の撹拌・混ぜ合わせに注意
- pH・油分が不確かな場合は 性状分析(簡易検査) を検討
② 見積もりより高額になってしまう
「当初の金額より大幅に高い」という相談も多いトラブルです。
主な原因
- 水分が多く、重量が想定を超えた
- 混合油や油泥と判定され、処理工程が追加
- 異物分離が必要だった
- 特管該当(重金属・溶剤・強酸/強アルカリ) と判断された
- 少量排出で 最低料金 が適用された
対策
- 見積もり前に以下を正確に伝える
- 排出量(kg / L)
- 水分量の目安
- 異物の種類
- pH(わかれば)
- 保管容器の種類
- 追加費用が発生する条件を 事前に確認
③ マニフェストの不備によるトラブル
マニフェスト(産業廃棄物管理票)は、
排出事業者の法的責任が問われるため、不備が最も危険なトラブル の一つです。
よくある不備
- 品目の誤り(廃油 / 汚泥 / 特管汚泥の誤分類)
- 住所・名称の記載ミス
- 処理終了報告(写しB2・E票)の未返送
対策
- 電子マニフェストを使用するとミスが大幅に減る
- 初回は 業者と一緒に記入内容を確認
- 特管かどうか不明な場合は、必ず業者に事前相談
④ 違法な無許可業者に委託してしまう
コスト重視で依頼した結果、
無許可業者 → 不法投棄 → 排出事業者も罰則
という最悪のケースも起こり得ます。
よくあるパターン
- 「許可証を見せてもらっていない」
- 「収集運搬業者、処分場とそれぞれ契約書を締結していない」
- 「車両に会社名が書かれていない」
対策
- 収集運搬・中間処理の 許可証を必ず確認
- 許可証の中に 廃油・汚泥・特管 が含まれるかチェック
- 実際の処理施設(中間処理場)の所在地を確認
- 契約書を正式に取り交わす
⑤ 現場での積み込みができない(物理的な問題)
意外と多いのが「車両が入れない」「吸引ホースが届かない」など、物理的なトラブル。
よくある原因
- トラックの進入スペースが足りない
- 段差・勾配・狭い道路による搬入困難
- ドラム缶が満杯で持てない
- 槽の蓋が開かない/位置が不明
対策
- 事前に 現場写真(道路・入口・槽の位置) を送る
- 駐車位置から処理場所までの 距離(m) を伝える
- ドラムは 半量程度で保管 すると安全
- 初回は立ち会って状況を共有するとトラブルが減る
⑥ 特管の該当性に気づかず法令違反になる
廃油・汚泥の中には、性状次第で 特別管理産業廃棄物(特管) になるものがあります。
よくある例:
- 特定有害産業廃棄物(pH2以下/12.5以上)
- 有害重金属を含む汚泥
- 廃溶剤(引火性・毒性が高い)
- メッキ・表面処理の反応スラッジ
トラブル例
- 特管許可のない業者に委託してしまった
- 特管用の容器・ラベルを使わず回収してしまった
- マニフェストを通常の品目で発行
対策
- 性状に疑いがある場合は 事前に分析(pH・簡易重金属など)
- 特管対応業者かどうか必ず確認
- 特管専用容器(密閉・表示あり)で保管する
⑦ 悪臭・漏えいによるクレーム
とくに有機汚泥や油水槽の汚泥は、腐敗や漏えいで周囲に影響を与えることがあります。
よくある問題
- 室内保管で臭気が広がる
- ドラムから滲み出て床を汚す
- 漏えいで近隣クレーム
- 夏場の腐敗・発酵による膨張
対策
- 密閉容器の使用(パッキン確認)
- 高温期は 長期保管しない
- 液面が揺れるものは 8〜9割で保管
- 臭気が強い場合は早期引き取りを依頼
よくある質問(FAQ)
廃油・汚泥の処理に関して、現場で特によく寄せられる質問を Q&A 形式でまとめました。
初めて依頼する事業者がつまずきやすいポイントを中心に整理しています。
- 少量でも回収してもらえる業者はありますか?
-
はい、あります。ただし、対応不可な業者も多くございます。
※少量の場合は、排出タイミングをまとめると費用を抑えられます。
※当サービスでも対応可能な場合が多いです。一度ご相談ください。
- どの業者に頼んでも同じですか?
-
いいえ。許可の種類・対応できる性状が大きく異なります。
業者ごとに以下の違いがあります:
- 対応できる廃油の種類
- 高含水汚泥への対応可否
- 特管汚泥(pH・重金属)の受け入れ
- 再資源化ルートの有無
- 料金体系
“廃油・汚泥の品目が許可証に書かれているか” は必ず確認が必要です。
ちなみに、他社では難しいと言われた廃油・汚泥も当サービスでは処理可能であることも多いです。
- 廃油と油泥はどう違うのですか?
-
油=油が主体、油泥=油+水+固形物が混ざった汚泥です。
油泥は性状が複雑なため:
- 処理が難しい
- 分離工程が必須
- 費用が高くなりやすい
という特徴があります。
- 汚泥の含水率はどうやって測りますか?
-
業者が現場で判断するか、簡易分析で確認します。ただし、最終的な費用は処分場での計量で決まります。
- スコップで採取 → 目視
- 比重から推定
- 水分計・蒸発試験などの簡易分析(精度高)
※含水率は料金に直結するため、性状確認はとても重要です。
- 特別管理産業廃棄物(特管)かどうかはどう判断しますか?
-
成分(pH・重金属・溶剤成分)を確認することで判定します。
特管該当のよくあるケース:
- 特定有害産業廃棄物(pH2以下/12.5以上)
- クロム・ニッケルなどの重金属を含む汚泥
- 有機溶剤(トルエン・MEK 等)
- 引火点が低い廃油
不明な場合は 簡易分析・性状調査 を行います。
- マニフェストは必ず必要ですか?
-
廃棄物は必ずマニフェストが必要です。
マニフェストは排出者の法的義務なので、必ず確認してください。
電子マニフェストについては「JWNET(電子マニフェストシステム)(https://www.jwnet.or.jp/)」の公式サイトをご確認ください。
- 廃油・汚泥は混ぜても大丈夫ですか?
-
基本的には “混ぜない” が原則です。
理由:
- どんな科学反応が起こるか不明で危険
- 性状が変わり、処理ルートが変わる
- 分離工程が必要になり費用が上がる
- 特管に該当する可能性が出る
油と汚泥は 別々に保管 するのがベストです。
- 臭いが強い汚泥でも回収できますか?
-
多くの場合は可能ですが、腐敗が進むと処分場によって受け入れ不可の場合もあります。
有機汚泥や油水槽のスラッジは腐敗しやすく、特に夏場は注意が必要です。
密閉容器で保管し、長期保管せず早めの回収 をおすすめします。 - 処理費用を抑える方法はありますか?
-
“排出時の状態を整える” ことが最も効果的です。
- 含水率を下げる(余計な水を混ぜない)
- 異物を混入させない
- 廃油と汚泥を分別する
- 容器を統一して保管
- 定期回収契約で単価交渉
“状態が良い=処理が簡単” なので、その分お得になります。
- すぐに回収してもらえますか?
-
A. 業者によりますが、通常1〜2週間ほどかかります。
- 廃棄物の確認(性状が不明な場合はサンプル取り寄せ)
- 契約書の締結
- 配車日の押さえ
- マニフェストの準備
など、適正処理には時間がかかります。
ここが疎かになると環境問題や公害を招きます。最悪の場合、排出事業者への責任が問われることもありますので非常に重要です。また、確認が疎かでその場で回収可能という業者は、違法業者の可能性も高いため注意が必要です。
まとめ/次のステップ ― まず何をすべきか
廃油・汚泥の処理は、種類や性状によって必要な手続きが大きく変わるため、
「何から手をつければいいのか分からない」 という方が非常に多い領域です。
まずは以下のステップから着手すると、スムーズに安全・確実な処理へ進むことができます。
① 廃油・汚泥の「種類」と「状態」を把握する
最初に必要なのは、廃棄物の“中身を正しく知る”ことです。
廃油・汚泥についての確認項目
- 廃油の種類(鉱物油・動植物油・廃溶剤など)
- 汚泥の種類(油泥・無機汚泥・有機汚泥など)
- 含水率、異物の有無、pH や有害物質の可能性
- 特管該当の可能性
ここが曖昧だと、見積もりも、処理ルートも、業者選びも全部ブレる ため、最も重要な工程です。
② 写真・動画で「現物」と「保管状況」を記録する
業者が正確に判断できるように、下記の項目をスマートフォンで撮影しておく と、やり取りが大幅にスムーズになります。
写真・動画を業者へ共有する項目
- 廃油・汚泥の見た目
- 容器の種類(ドラム・タンク・槽など)
- 排出場所(屋外・屋内・距離感)
③ 処理可能な業者をピックアップする(許可証確認)
次に、以下を満たす業者を候補に挙げます。
処理業者の確認項目
- 廃油・汚泥の 品目が許可証に含まれているか
- 排出する都道府県の 許可範囲内 か
- 特管の可能性がある場合は 特管許可 を持っているか
- 油泥・高含水の汚泥に対応しているか
許可証の確認は排出事業者の義務でもあります。
④ 見積もり依頼は「性状情報+写真」をセットで出す
見積もり依頼は、以下の情報を添えるのが基本です。
見積もり依頼時に必ず伝える項目
- 排出量(L/kg)
- 廃油 or 汚泥の種類
- 含水率の目安
- 異物の有無
- pH(わかれば)
- 写真・動画
- 希望する回収タイミング
ここまで伝われば、当日トラブルをほぼゼロにできます。
⑤ 不明な点は早めに専門業者へ相談する
廃油や汚泥は、
「自己判断で処理しようとする」ことが一番危険 です。
少しでも不明点があれば、早めに業者へ相談することで
処理ルート・費用・時間を大きく無駄にせず進められます。
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概算の処理費用をご案内できます
廃油・汚泥の種類や性状が分からなくても大丈夫です。
排出状況や容器の写真をお送りいただければ、
処理方法・費用の目安・必要な手続きをわかりやすくご説明します。
「状態がよく分からないので相談したい」
「とりあえず費用だけ知りたい」
「現地で確認してほしい」
「引き取りまでどのくらいかかる?」
といった内容でも、お気軽にお問い合わせください。
